私が参加しているボランティアでは、公民館で月に数回のパソコン講習会を実施している。WordとExcelの操作方法がメインで、年賀状や回覧板などの作成を題材にして、ITボランティアの皆さんが講師を行い、10名程度の生徒を指導する。
受講者は高齢者の方が多く、若干の手数料を負担いただいているにもかかわらず、毎回定員以上の応募があるらしい。
実は、システム開発の現場にいたときは、一般の、しかも高齢者はITに関して積極的でないと思っていた。しかし、ボランティアで指導していくにつれ、高齢者へもITが浸透している実情がよく分かってきた。子や孫とのメールのやり取りを行う方から自身の趣味として、パソコンでビデオ編集をする方までいる。
いろいろと考えると、高齢者にとってのITが見えてきた。
・目的達成の手段としてのIT
ボランティアで接する高齢者の方を見ると、若者のように「ネットが趣味」とか、「パソコンが趣味」といった方はあまりおらず、ITそのものに対する興味が高いようには感じられない。むしろ、写真や華道といったそれぞれの趣味を持っており、デジカメで撮った写真をパソコンで印刷してサークルの会員に配ったり、新聞の株価をExcelに転記したりとITを「ツール」として活用している。
私はこれがIT教育の基本だと考えている。ITはあくまでツールであり、これまでの自分の生活にITという便利なものが加わったことで自己表現の範囲が広がるというものだ。
内閣の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(T戦略本部)によるIT新改革戦略という文書を見ると、国のIT戦略における教育は「ITを使った高度なことを行うための教育」である。これはこれで意味があるのだろうが、実際の高齢者ITを活用している現場とはずれがあることは否めない。
高齢者がITを活用して発信を行うことは、一種の「文化伝承」である。私は岡山大好き人間なのだが、これは、岡山に魅力ある歴史があり、文化があるからである。ITの活用に文化を絡めて見たとき、真の「e-Japan」を見つけられると信じて今日もボランティアとして高齢者と接していきたい。